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マリア・レイシスのぺいゆによる3人ピンナップクリスマス2022
イラストSS
「ええ~~なにこれぇ? もっふもふだけど筋肉? いやマスコットだから筋肉は無いよなぁ? でも固いなんかあって、えぇ~~?」
「……夏子さん?」
「ああ、ごめんねタイムちゃん。いやでもすごいのよ、彼? 彼女? マジで謎オブ謎。すんごい気になっちゃう」
「夏子さん!!」
どうして、どうしてこうなっちゃうの!?
タイムは心の底から叫んだ。折角二人でVDMランドにデートに来たというのに夏子は謎の生物である『とらぁ君』に夢中で、タイムをエスコートしようともしない。
これが美人なキャストにデレデレというのであればまだいい。
腹は立つが、まぁ女好きの夏子らしいともいえるし、脛を蹴ってやれば「酷いよタイムちゃぁん……」などと情けない声を上げながらも最後にはタイムの方を向いてくれるからだ。
だがしかし、いま彼が夢中になっているのは黒髪ストレートの強気な美人でも、茶髪ボブカットのふわふわ美少女でもない。
――テーマパークの真っ白謎生物である。
しかも普段の様に鼻の下を伸ばしているわけでもなく、無邪気な子どもの様に目をキラキラさせながら観察に夢中になっているものだからますます質が悪い。タイムにもなかなか見せない表情を、なぜ今日初めて会ったマスコットに見せているのだ。
(わたしとデートしてるんだから、わたしに夢中になってほしいのに……)
むっすりと頬を膨らませ、腕を組んで夏子ととらぁ君を睨みつけてみたが、それでも夏子は此方を向かない。
「なんか? ここのパンフレットにさ? プロレスみたいな技かけてる写真があったけどぉ……あれ頼んだらやってくれるのかなぁ!? あっ、でも女の子以外に振り回されるのはなぁ……でも気になるなぁ……」
なんか訳の分からないことを早口でぶつぶつ呟きながらも、優しくとらぁ君を撫でている夏子にタイムはますます苛立ちを募らせた。
本当はその手は自分と繋ぐためにあった筈なのに。
そんな謎生物を撫でるくらいなら、自分を撫でればいいのに!!
「そんなにとらぁ君が好きなら、とらぁ君とデートしたら!?」
さすがに、不味いと思ったのか夏子が一瞬タイムを見た。わかればいいのだ、わかればとタイムが口を開こうとした瞬間。
「ごめんねタイムちゃん。でもあとちょっと!! あとちょぉ~~っとだけ……!!」
「もう!! 夏子さんの馬鹿!!!」
夏子の返答にタイムは暫くご機嫌斜めだった。当たり前である。
※SS担当者:白