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秘密の場所と、秘密の気持ち
秘密の場所と、秘密の気持ち
イラストSS
●Love is more afraid of change than destruction.
『変化』するのは『破滅』を迎えるより恐ろしく、其れは何事にも云えるもので、特段『戀』や『愛』に於いては顕著である。
こんなの、初めてだった。
彼が此の景色をあの仔以外に見せたくないな、と何気ない想いから『特別』を自覚したのも。
或は『彼/彼女』に芽生えた、物語の世界でしか見た事の無い『恋慕』という感情が胸中に芽生えたのも。
緑靡ける宝石が耀き、其の間に落ちる沈黙の微粒子の一粒、一粒を咲う様に黄金の果實が身を揺すり、吹き上げた微風がふたりを不意に向き合わせて。
耳迄熱い程に紅潮した頬。判っている、此の熱が冬の寒さの所為なんかじゃない事を。
先に『変化』を受け入れる様に瞳を閉じたのは何方だっただろう。けれど、ハインの深いサファイヤ色の双眸にはくっきりと浮かぶ六条の星彩線が煌めいていた事も、何時だって賑やかなエドワードがしをらしくやけに緩慢に腕を回した事も、胸の鼓が煩くて如何にかなってしまいそうだった事も憶えている。
唯、触れるだけのキスをした。
唯、其れ丈の事だったのに、眼を開けた世界は一変する。
互いとも薄目でもう戻れない事実を認識して、眩ゆくて、歯痒くて、亦、閉じて。
今度は確かめる様に、もう一度。今度は長いキスをした――……。
※SS担当者:しらね葵