イラストSS

　シャイネンナハト――誰も彼もが『そわそわ』とする日だ。
　祝福の一時だからだろうか。誰しもの気分が高揚している。
　……となればギルオスやハリエットにしても例外ではなかった。
「たまにはこんな服はどうかな？　ハリエットにも似合うと思うけれど」
　街中。雪がちらりほらりと顔を見せ始める中で。
　二人はウインドウショッピングを楽しんでいた。
　指差す先にあるのは――おおっとこれは。
「ロングスカートとか、動きにくくないかな。いつもコレが慣れてるんだよね」
「うんうん。ハリエットはソレがよく似合ってるけどね。でも冬は寒いだろう？
　冬は冬の装いをしてみるのもきっと楽しいよ」
「……うん。そうだね、折角だし、ギルオスさんが言うなら試着してみようかな」
　服の端を掴みながら、ハリエットは指差す先を眺めていた。
　着慣れていない服に対する緊張だろうか。
　なんとなし誰かの――いや。
　ギルオスの服を掴むと安心するのだろう。
　……もしかしたら無意識かもしれない。それぐらい自然に掴んでいたから。
「じゃあ中に入ってみようか」
「ん。あ、一緒に来てくれる？」
「勿論だよ――一緒に行って、一緒に選ぼう」
　然らばそのまま店内へと、穏やかな雰囲気と共に入ろうか。
　あぁシャイネンナハトはまだ始まったばかりだが。
　こんなに胸が高揚するだなんて――大丈夫かな、なんて。どこかで想いながら。