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九十九里 紅華の橘知怜によるおまけイラスト
イラストSS
シャイネンナハト――無数の流星が瞬く聖夜。
九十九里 紅華と空鏡 明月――2人がいた世界にも聖夜を祝う行事はあった。聖夜の慣習にならって、料理が得意な紅華は手作りのケーキ、チョコレートタルトを用意した。明月はもっぱら、食べる専門である。
紅華はケーキを切り分けようとしたが、明月は流星が降る景色を見ようと、ベランダに紅華を誘った。そろってベランダに出ると、冬の冷気が2人の体の熱を一気に奪い去る。しかし、この時期にしか見れない星空は、寒さに耐えるだけの価値はあった。
流星群に目を奪われていた明月は、我に返って言った。
「何か願い事しないと!」
その明月の隣りで、紅華も静かに手を組んで祈りを捧げる。同様に祈りを捧げる明月がじっとしていたのはわずかな間だけで、「寒っ!! もう無理!!」と弱音をあげる。明月は即座に暖かい部屋へと引き返していく。
少しの間ベランダに出るだけならと、2人は部屋着のまま星空をしばらく見上げていた。紅華も部屋に戻りながら、冷えた両手をさする。
次に紅華の視界に映った明月は、両腕を組んでソファーの上で縮こまり、「紅も寒いだろ?」とどこか意味ありげな視線を紅華に送る。しかし、その意図は紅華には理解されず、ブランケットを取りにいこうとする紅華を明月は引き止める。
「そうじゃなくて――」
明月に手を引かれた紅華はそのままソファーの上に誘導され、明月は紅華を抱き寄せる。
「コラ、明……」
そっと体重を預ける明月は、ソファーの上に紅華を押し倒す。紅華の表情や声色の微妙な変化をも感じ取る明月は、その反応が満更でもない証であることを確信してほくそ笑む。
「寒いって言っただろ?」
そう言って紅華の肩口に頭を預ける明月は、恋人の温もりを感じて至福の表情を浮かべた。
「──こうしてれば寒くない♪」
イチャつく口実を作る明月にされるがままの紅華。明月が与える温もり──多幸感に包まれるようなふわふわした心地が、紅華の表情や精神を緩ませる。
「そうか……風邪でも引かれたら困るな」
そう言って、紅華は明月の手を握り返す。その行動から紅華の愛情が伝わってくるようで、明月は増々表情を緩ませた。
※SS担当者:夏雨