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モカ・ビアンキーニのhalによる3人ピンナップクリスマス2022
イラストSS
三國・誠司。十九歳。
特異運命座標ということを除けばどこにでもいる一般人である。
彼は日頃頑張った自分へのご褒美として、聖夜に露天風呂にやってきた。
湯に浸かるまでは寒かったが、掛け湯をしてからゆっくり足先から湯に浸かると、冷え切った身体がじんわりと温もり、ほぅと感嘆の息が漏れる。
「あぁ~~、生き返る~~」
「全くだなぁ」
「本当ねぇ」
「そうですよねぇ~~……えっ」
湯煙の向こうから話しかけられ、礼儀正しい誠司は返事をした。ここまではいい。
問題はその声が明らかに女性の物だったことだ。
そういえばここの露天風呂は混浴だった、完全に失念していた。
「す、すすすいません!! すぐに上がりますね!!!」
いたって健康的な男子である誠司は風呂桶を引っ掴んで、慌てて温泉から出ていこうとした。それを褐色肌の美女、モカが止める。
「何故だ? 別に構わないだろう? 風呂に入るくらい」
「モカさん!? 何でここに!!」
「蘇芳さんと一緒に露天風呂に来たのさ。そしたら、よく知った声が聞こえてきてね」
揶揄うように笑うモカの隣には困り眉と口元の黒子が艶やかな美人、蘇芳が居た。
「一緒にお風呂に入るのが、こんなおばさんでごめんなさいね?」
「おばさんだなんてとんでもない! ……そうじゃなくて!!」
顔を真っ赤に染めた誠司にクスクスと笑いながらモカは誠司の手を引いた。
うんうんと蘇芳も頷いて、誠司を見上げてくる。
「まだ入ってきたばかりじゃないか、ゆっくりするといい」
「そうね、すぐに上がっては湯冷めしてしまうわ」
「ア、ハイ」
美人とはなぜこうも圧があるのだろうか、逆らうこともできず誠司は再度湯船へ腰を下ろした。
(身体を見なければ、見なければいいんだ……!)
「やはりキミは面白いな」
「あら、顔色が……大丈夫?」
「スゥ~~」
あろうことかモカがその豊満なバストを惜しげもなく背中に押し付けてきた。また、誠司を心配した蘇芳のバストも肩辺りに当たっている。ふにゅっとした柔らかな感触が背中越しに伝わって、誠司の心臓が平時ではありえないくらい早鐘を打っている。
この間テレビで冬場の風呂は心臓に負担がかかりやすく、亡くなる人もいるから気を付ける様にと特集をやっていたことを誠司は思い出した。
(僕……死ぬのか?)
どうしよう、遺書とかないぞ。秘蔵フォルダの中身も消せてない、ヤバい。
誠司は頭に血を昇らせながら、必死に考えていた。
※SS担当者:白