イラスト詳細
ドラマ・ゲツクの彁によるおまけイラスト
作者 | 彁 |
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人物 | ドラマ・ゲツク レオン・ドナーツ・バルトロメイ |
イラスト種別 | おまけイラスト(→元発注イラスト) |
登録されているアルバム | |
納品日 | 2022年12月24日 |
イラストSS
●私はもっと華やいで、貴方はきっと枯れてゆく
聖夜らしい幾ばくかの神妙さは実にアンバランスだった。表面張力に支えられているかのような関係は刹那の瞬間にその均衡を乱してしまうものだ。
ドラマは極めて優秀だった。叡智の捕食者を名乗る位の彼女は迂闊に踏み込む事がどんな結果を齎すかを知っている。
これはきっと、幻想種らしい一生で一度の恋だから。
『師匠の教えのその通りに、間合いを間違えてはいけないのだ』。
それなのに。
「――私、大人っぽくなったでしょう?」
『戦い』にはアクシデントが付き物だという事なのだろう。
足元の雪に履きなれないお洒落な靴を取られたのが悪かった。
不意にバランスを崩してしまったのは偶然だ。
自身を抱き止めたレオンの体温を感じてしまったのは錯覚なのだろう。
それでも何でも。兎にも角にもドラマはこの時、止まれなかった。
「もう小さな子供みたい、何て思わないでしょう?」
決して煮え切らない不誠実な男の本音なんて知れていたのに。
(もう五年も経ったのですよ。五年も経ってしまったのです)
我ながらどうしてこんな風なのか首を傾げたくなる位なのに――ドラマの唇は止まらない。
「貴方に会ったのはローレットでの初めの日。
だから私の外の世界には、ずっと貴方が居て」
「ああ」
「幾つも季節を重ねてきました。近くで、或る意味、遠くて」
ドラマの肩を抱いたレオンは彼女の被った白い雪を軽く払った。独白めいた彼女の告白を彼が茶化さないのは、『言う通り』随分と大人びた美貌の所為かも知れない。幼かった少女は美しく羽化を果たし、ここに居る。過去に拘泥し、何一つ進まない男をその気もなしに置き去りにするかのように――
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