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メリッカ・ヘクセスのゆうずきによる関係者2人+PCピンナップクリスマス2022
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●シャイネン泳ぎ納め
希望ヶ浜学園は健全な少年少女が集う学園である。
シャイネンナハトもいよいよ間近となれば、それに纏わる話題が持ち上がるようになるのも必然――
が。
「シャイネンがなんぼのもんじゃい!」
我らが水泳部の顧問は、そんな空気をぶったるんどると両断した。
「あなた達、いつかはこの学園を卒業して社会に出るのよ? そんな甘えた考えで生きていけると思ってるの!」
別に甘えているつもりはない――という反論は許されない。できない。
顧問であるフェデリカも、真に学生の為を思えばこそ厳しく当たるのだ。
「今日は海に出るわ」
「冬の海に」
「年末泳ぎ納めよ! 心身共に引き締めるのよ。私に付いてきなさい!」
軍人気質(というか海洋軍人)である彼女は部員達の意見を聞く時間も取らず、着替えに行ってしまう。
彼女は本気で、この寒中水泳を敢行する気なのだ――。
御年52歳とは思えぬフェデリカの美貌――に見惚れる余裕もなく、先頭を泳ぐ彼女に遅れないよう必死に付いていく部員達。そこに経歴も、男女も、種族も差は無い。
海洋時代からの縁であるメリッカとアメリアも、気合いで四肢を動かし続けた。他のことは一切考えられない。
先頭を行くフェデリカも疲労がない訳では無いのだが、ついに最後まで先頭を守り切ると四つん這いで浜へ這い上がり、肩で荒い息をする。ある程度落ち着くと彼女は立ち上がり、髪も濡れたまま海へ振り返った。
「もう少しよ! 最後まで出し切って!」
表情には出さないが、彼女の鍛え抜かれた筋肉でさえ疲労で震えている。後から到着した部員達に至っては、ようやく浜へ辿り着いても気力も体力も使い果たしており、吐きそうな声で過呼吸気味に喘ぐことしかできなかった。
「はアアッ、はアアッ、はアアッ……っ、ウォエ、はアアッ、はアアッ……」
「身体が冷えてはいけないわ。焚き火を用意するから、動けるようになった人から手伝って」
全員の到着を見届けて、フェデリカは焚き火の準備に向かう。しばらくは浜に部員達の肉体が死屍累々と転がるばかりだったが、やがて一人二人と顧問の手伝いへ向かう。
「アメリア君……僕達も、行こっか……」
「メリッカちゃん……そうだね……」
呼吸が落ち着いてくると、メリッカとアメリアの二人もゆるりと起き上がり、冬の浜の寒さを実感しながらフェデリカの元へ向かう。バスタオルを羽織って作業を手伝い、ようやく完成した焚き火へ体育座りで暖を取るのだった。
※SS担当者:旭吉