イラストSS

　一面の白に赤い少女が駆けていく。猫は炬燵で丸くなるとは歌われても、実際は本猫次第なようだ。身長差 50cm強による歩幅の違いを活かし、急かすメイの後ろをゆったりと追うジョージだ。
｢普通のだるまさんじゃ面白くないかな？｣
　小さな雪玉から拵えるメイに、それならばと提案したのは——彼女と同じサイズのペンギン型雪だるまだった。
｢ジョージおじさま！　きっとだるまさんも寒いはずなのです！｣
　ふたりの周りで雪と戯れる猫達のうちの１匹を頭上に乗せたまま、メイがいそいそと自分のマフラーを外す。けれど立派なペンギンの胴は彼女の腕では回り切らず、猫２匹に肩を占拠されたジョージが手伝い、ようやく大きな蝶々結びを完成させることができた。
｢これなら、君のおかげで、凍えずに済むだろう｣
｢あともう少し整えたら、もっともっとぺんぎんさんぽく見えるですかね？｣
　ぐるりと回って確かめるメイに、ふむ、とジョージが指差したのは嘴だ。
｢嘴は、もう少し大きくすると、より、らしくなるぞ。俺が見本になってみようか｣
　かくしてペンギンだるまの横に、さらに巨大なコウテイペンギンが聳え立つという南極でもお目にかかれない光景が誕生したのだった。

　※SS担当者：氷雀