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ジュリエット・フォン・イーリスの夏緒による2人ピンナップクリスマス2022
ジュリエット・フォン・イーリスの夏緒による2人ピンナップクリスマス2022
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星降る夜の雪原は静かで自分達の足音しか聞こえなかった。
立ち止まってしまえば、あとは静寂が訪れるのみ。
「寒くないかい?」
いつもならギルバートの言葉に「大丈夫」と答える所ではあるが、今日ぐらいはほんの少し甘えてみてもいいだろう。
「……少し寒いです」
上目遣いに彼を見つめれば少し驚いた表情を見せたあと、すぐに微笑みへと変わった。
「おや、それは大変だ。此方へどうぞお姫様」
ギルバートはマントを広げジュリエットを招き入れる。
外気の冷たさとは打って変わってギルバートのマントの中は暖かかった。
じんわりと伝わってくる熱に鼓動が早くなる。
「どうかな、あたたかいかい?」
「ええ……とても」
ジュリエットの身体をすっぽりと包み込むようにギルバートは力を込めた。
柔らかな彼女の香りに思わず唇を奪いたくなる。けれど、それはまだ時期尚早かもしれない。
言葉にしては居なくとも、お互いを思い合っていることは自覚していた。
それでも今の関係性を超えるには勇気がいるのだ。
未だ終わらぬ大戦への不安もある。
だから、今はこのままで構わない。ただ、お互いの温もりを感じられる時間が尊いのだから。
※担当:もみじ