イラストSS

　シャイネンナハトと呼ばれる催しに参加するのはこれが初めて。
　煌めくイルミネーション、あたたかいケープを羽織って、フィノアーシェは夜のシャイネンナハトを歩く。
　ローレット経由で彼女宛に雑誌モデルの依頼が来ていたのだ。そのせいか、サンタクロースの装いにしてはやけに布地が薄い気がする。
　腰回りのベルトはやけに頼りなく、足を動かす度にゆるゆると腰近くで揺れる。
　髪を一房纏めたふわふわのシュシュは、サンタの帽子やケープについたそれとお揃い。一見すればセクシーだけれど、愛らしさもしっかり忘れない装い。
　脇に抱えた猫のぬいぐるみは片手で抱えるにはやや大きい。が、あたたかくて手放す気にはなれない。抱えた袋の中には、きっとサンタクロースもびっくりのプレゼントが入っていることだろう。
「はい、視線こっちにお願いしまーす！」
「む、了解した」
「いいかんじでーす！　もう少し撮りますね！」
「わかった」
　ファッションには疎いのですべてをおまかせしてしまった結果、普段とそう変わらない露出になっているけれど。柔らかい生地にベルベットのケープで保温性は充分だ。
　こぼした吐息はまだ白く。シャイネンナハトの夜は、まだまだこれからだ。

　※SS担当者：染