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ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルクのほったりょうによる2人ピンナップクリスマス2022
ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルクのほったりょうによる2人ピンナップクリスマス2022
イラストSS
満点の星空と、それを反射する鏡のような湖。セララとハイデマリーの想いを乗せた紙飛行機は、湖の上を滑るように飛んでいく。
「うーん……ここからじゃ、どっちが遠くまで飛んだか分からないね」
「そうでありますな」
どちらが長く飛ばせるかの競争も兼ねて、二人は紙飛行機を飛ばした。ハイデマリーに至っては、より遠くに長く飛ぶように工夫しながら折ったのだが、二機の紙飛行機は二人の絆を象徴するかのように並行して飛んでいた。それも、いつの間にか消えてしまったが。
消えてしまった紙飛行機は、無事サンタさんの元へと届いただろうか。――いや、届かなくても良い。
お互い何も言わずに、もう見えなくなった紙飛行機が飛んでいった先を眺めていた。繋いだ手は解かない。解きたくない。
時折吹く風に、今日のために新調した色違いのお揃いのマフラーの端がなびく。二人と同じように紙飛行機を飛ばす人たちもいるというのに、まるで二人だけがこの世界に取り残されたような、そんな気分にさせる。
(このままずっと――)
その先の言葉は本人にしか分からない。けれども、きっと同じことを考えたに違いない。どちらからともなく繋いだ手を再びぎゅっと握ると、先に声をかけたのはハイデマリーだった。
「帰りましょうか」
「うん」
セララはそれに頷くと、手を繋いだまま二人は雪道に足跡を残した。
※SS担当者:萩野千鳥