イラストSS

　その日は朝からイレギュラーズの仕事だった。
　こんな日に争い事を頼む依頼人は稀だが、そうではない依頼は多い。
　曰く、足を悪くしてしまったので買い物と料理を代行して欲しい。
　曰く、買い込み過ぎてしまったので荷物を持って欲しい。
　色々な理由の仕事が舞い込む。
　その中で今日、クロエが担当したのは幼い子供の依頼。
　早くに母を亡くし、父と二人きりとなった幼子は言ったのだ。
　──「パパにシャイネンナハトのプレゼントをあげたい。でもお金がないんだ」
　なけなしの金どころか、大事に貯めていたと思わしきキラキラの折紙を差し出されてクロエは泣きたくなった。
　代わりに力いっぱい抱き締めて無料で依頼を受けた。
　クロエが持っていた色鉛筆やペン、リボンをあげて、色とりどりの折紙でプレゼントを作った。
　別れ際、幼子とはとびきりの笑顔で別れた。涙を堪えて。
「あのような親子に幸福を、輝かんばかりの夜」
　どうか幸せになって、そう強く願いながらクロエは夜空で歌を紡ぐ。
　幸福を願う歌を、シャイネンナハトの夜にプレゼントする。

　※SS担当者：桜蝶京嵐