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《シャイネンナハト2022》はじめてのゆきあそび
《シャイネンナハト2022》はじめてのゆきあそび
イラストSS
早朝から降り積もった雪で燈堂家の中庭は真っ白になっていた。
開け放った障子の外、広縁の雨戸を開けた灰斗は初めて見る雪に目を見開く。
蛇の本能としては暖かい所で過ごしたいという気持ちがある。
けれど、真っ白な雪という誘惑には勝てなかった。
「ゆき! 冷たい! チェレンチィもはやく!」
朝から薄着のままはしゃいだ灰斗は、昼ご飯を食べようと戻ってきた所を白銀に見つかって、厳重に防寒着を着せられていた。昼過ぎからは友達のチェレンチィも呼んで雪遊びに勤しんでいる。
「灰斗は元気ですね……」
ガタガタと震えながらチェレンチィは灰斗が雪玉を転がすのを見つめていた。
もこもこの防寒着を着ているというのにチェレンチィは見るからに寒そうだった。
「こうして、こうして……」
雪玉をどんどん大きくしながら中庭をぐるぐると周回する灰斗。
一抱えほどになった雪玉を、事前に用意した土台の上に乗せる。
「あ、雪だるまですか?」
「うん! マフラー巻いて、目つけて。頭に葉っぱもつけたら完成!」
「ふふ……頑張りましたね」
自慢げに雪だるまを見せる灰斗にチェレンチィは満面の笑みを向けた。
来年もこうして穏やかに過ごせますようにとチェレンチィは灰斗を見つめ願ったのだ。
※担当:もみじ