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見ていられない
見ていられない
イラストSS
当て所なく寒空の下を明煌はあるいていた。
群青色の空には薄らと雲が掛かり、雪がちらついている。
燈堂家の賑やかなクリスマスパーティは嫌いではなかったけれど、どうしても居心地が悪かった。
だからこうして抜け出してきたのだ。
子供達の多い燈堂家ではタバコを吸う気にもなれなくて明煌は公園までやってくる。
暗闇に薄らと光っているのは自販機と街灯の明かりだ。
頬に冷たい感触があって夜空を見上げれば、雪が降り出していた。
何か温かいものでも飲もうかと自販機の前にやってきた明煌は向こうから近づく人影に気付く。
一瞬の警戒のあと、それが見知った顔で明煌は安堵した。
しかし、どう挨拶をしたらいいものか。
知り合いではあるけれど、気軽に声を掛けていいものなのか悩んでしまうのだ。
暁月ならこういうとき気さくに話しかけるだろう。しかし、明煌にはそれが難問であった。
「あれ? 明煌?」
「……」
悩んでいる内に自販機の前までやってきたジェックから視線を逸らす明煌。
硬貨を入れた自販機が赤いランプを灯した。
「何か飲む? 寒いやろ?」
「え? いいの? どうしようかな……」
「ココアとか美味しいで……あ」
思わず触れてしまった自販機のボタン。
ガコンと出て来たココアの缶を取り出し、ジェックは紅い目を細める。
「ありがとう、明煌」
※SS担当:もみじ