PandoraPartyProject

イラスト詳細

……ばか。

作者 キンイロアロワナ
人物 タイム
コラバポス 夏子
イラスト種別 おまけイラスト(→元発注イラスト
納品日 2022年12月24日

2  

イラストSS

●『What time do you think it is?』&『He stood you up again?』
 惨めったら、ないわ。
 やせっぽちた樹下の石にぽつねんと、座る『わたし』だけ時間に置き去りにされた様。待ち合わせの時間なんかとっくに過ぎていて、煌びやかで活気のある街並みとは裏腹に心に募って行くのは厭な考えや言葉が沢山。
 身体に積った雪を払う気にも成れず、通りすがる誰もが己を馬鹿にして――或いは憐んでいるみたいで、視線から脱れる為にじぃっと下を向いていた。
 メイクだって、ヘアセットだって何時もより上手く出来た心算で、服だって下ろし立て。とっておきに可愛かった筈なのに、泪でぐちゃぐちゃで本当惨めで仕方がない。

「タイムちゃん、待たせてごめ――……」
 もう、帰っちゃおうかな。どうせ、どうせ、彼は狡いから、そうやって立ち上がった瞬間にやって来るのだ。
「もう! 何時だと思ってるの! わたし、ずぅ~っと待ってたのよ!!
 どうせ他の女の人の所に寄ってたんでしょ! ばか! 夏子さんのばかばかばか!」
「ゴメ…ッ! いやまあ確かに待たせちゃったし、女の子と女性に会ってたんだけども……!」
「へー、はーっ!? やっぱりそうだったのね、此のろくでなし! 女垂らし!!」
 ――決壊。堰を切ったように、この後に及んでまだ溢れ出す泪と、怒りと呪詛を吐くタイムに素直に事実を伝えるも、慌てふためき言葉が足らず状況は悪化するばかりで。
「もうイイ、わたし帰る!!」
「待って待ってソレでもタイムちゃんを想って急いできたのはホント、ね?」
 ふ、と抱きすくめた小さな軀を子供をあやす心地で撫で乍ら『赦して』なんて[頼めば/頼まれれば]、大抵は何とかなってしまうのが彼も彼女も嫌いな所だった。

「夏子さん、汗の匂いがする」
「ごめんねェ!? 臭い?」

「心臓バクバク言ってる」
「急いで来たの、ほんと」

「お腹空いた」
「ごめんね、お店の予約の時間過ぎちゃったよね。何処か入ろうか」

「もう少し、此の儘」
「はいはい、了解。ほんとごめんね」

「……――うん」
「うん」

 ※SS担当者:しらね葵

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