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イラスト詳細

クウハの夜倉による2人ピンナップクリスマス2022

作者 夜倉
人物 クウハ
武器商人
イラスト種別 2人ピンナップクリスマス2022(サイズアップ)
納品日 2022年12月24日

6  

イラストSS

 人ならざる者達が多く集う『幽霊屋敷』にも、聖なる夜は訪れる。

「わぁ…、」

 煌びやかに飾り付けられたモミの木を目の前に、ミレイはぽかんと口を開いた。もちろんミレイとてシャイネン・ナハトを知らないわけではない。両親からは毎年欠かさず贈り物を貰っていた。しかし生前、外に出ることが殆ど叶わなかった幽霊少女にとってシャイネン・ナハトの暖かく賑やかな光は『遠い世界の出来事』であり、自分の寝る部屋に飾られたモミの木にもどこか近い様で手の届かない距離感をひっそりと感じていた。それが触れることこそ出来ないとはいえ、今や肉体の枷から解き放たれた少女の手を伸ばせばすぐ届く距離にあるというのは何とも感慨深いものだった。

「よォ、姫さん! "輝かんばかりの、この夜に"、だったか?」
「そうだよ、クウハ。混沌ではそういう風に言うんだ」
「──クウハ、魔法使いさん……!」
「こんばんは、お姫様。好い夜だね」

 振り返るった先にいたのはミレイの大好きなこの館の主、クウハとその主人……多くからは武器商人と呼ばれるモノがいた。
ミレイはクウハの主人のことを「魔法使いさん」と呼んでいる。不思議な力でこの館の幽霊達に、食べる楽しみを再び与えてくれたのだ。

「いいコにしてたかな?」
「えっと……」
「馬鹿言うなよ、旦那。姫さんがいいコじゃなかった時なんて無ぇさ」
「……!」
「ヒヒ、おまえが言うなら間違いないね。であれば、いいコにはプレゼントを渡さなければ」

 ミレイの両脇を挟む様にクウハと魔法使いが座ると、2人はそれぞれミレイにプレゼントを差し出す。

「俺からは本な。姫さん好みの話がいっぱい載ってそうなのをチョイスしたぜ」
「我(アタシ)からはハーバリウム。それも魔術をかけたとっておきさ」

 分厚く重厚な装丁の本に、彼女自身の瞳の様にきらきら光って美しいハーバリウム。死ぬ前も、死んでからも、こんなに心弾むことがあっただろうか。とミレイは思わず自分の胸をきゅっと抑えた。

「いいの? 本当に……こんなに幸せで、いいの?」
「当たり前だろ? さ、姫さんからも聞かせてくれ。今日は何ていう日なんだ?」

 クウハの優しい言葉に言葉にミレイは幸せいっぱいの気分で大きな声を出す。今日という日を、祝福する様に。

「──"輝かんばかりの、この夜に"!」

 ※SS担当者:和了

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