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サラ・アイソレイションのほったりょうによるおまけイラスト
サラ・アイソレイションのほったりょうによるおまけイラスト
イラストSS
●It is impossible to love and be wise.
皓降る美しいステージに降り立った雪の妖精がふたり。手を結んで、夜空の様に輝く羽をはためかせて舞い踊れば、氷に描かれた軌跡は彼と彼女が心を通わせ育んで来た幼い戀の様に温かく煌めいている。
湖面を削るトウ・ピックから吹き出される鋭い粒氷は、其の欠片、欠片が、時折額を合わせて擽ったく笑ったり、少し躓いて照れ臭そうにやっぱり笑ったり、互いを愛おし気に見つめ合う優しい極上の笑顔だったりなんてする、ふたりの表情を映し出す。
手を繋ぐのが、好き。
震えて強張った手を初めて繋いだあの日は、気恥ずかしくて、耳まで熱くて、お互いに貌なんて視れたものでは無かったけれど、随分と慣れたものだ。
『初戀は実らないもの』なんて茶化すけど、本気の戀だった。カイトがサラの滑らかな左手薬指を無意識になぞって、頭を振る。其の感情が『独占欲』と呼ぶ事を未だ少年は識らない。
「何時か、此の指に。どんな氷の結晶より綺麗な宝石を載っけた指輪を贈りたいんだ」
だから、今は。軽く指先へ口付ける姿は王子様みたいで――
「うん……待ってる、待ってるよ……」
泪ぐんで、頷くお姫様。ふたりの契りを、密やかに月だけが見守っていた。
※SS担当者:しらね葵