イラストSS

　シャイネンナハト――クリスマスのシーズン到来と共に活気づく街。街路樹に飾り付けられたイルミネーションが、行き交う人々を照らす頃――。大通りの一角にあるカフェテラスに、スティーブン・スロウと黎明院・ゼフィラの姿があった。
　聖夜らしくクリスマスケーキを味わいつつ、シャンパンを片手に談笑する２人。２人の周囲には、サンタの痕跡がちらほらとあった。シャンパンやケーキ以外にも、テーブルの上には白い付け髭が無造作に置かれ、足元には白い袋とサンタ帽もあった。
　輝くイルミネーションの美しい眺めが、スティーブンとゼフィラの聖夜に華を添える。甘いものが好物のゼフィラは、イルミネーションよりもケーキに夢中のようだった。ブッシュ・ド・ノエル──クリスマスといえば定番の丸太型のケーキを、ゼフィラはすでに半分まで食べ進めていた。一方で、スティーブンはもっぱらシャンパングラスを傾け、ケーキに手をつける様子はまだなかった。
　真っ赤なサンタの衣装を上着代わりに羽織るゼフィラは、満足気に語る。
「いやあ、大好評だったね。これは来年もやるべきかな？」
　残りのケーキを食べながら、ゼフィラサンタはプレゼントを受け取った子どもたちの嬉しそうな反応を思い返す。
　スティーブンは、笑顔で相槌を打つ。
「それじゃ、来年も忙しくなりそうだ」
　互いに嬉々として今年のシャイネンナハトを振り返る内に、スティーブンはゼフィラの物欲しそうな視線に気づく。いつの間にか、ゼフィラはすっかりケーキを平らげている。時が経つのも忘れてゼフィラと話し耽っていたスティーブンは、未だに皿の上のケーキをそのままにしていた。スティーブンの方からケーキを差し出されたゼフィラは、飛び切りの笑顔を見せるのだった。

　※SS担当者：夏雨