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囲 飛呂の番場ジオによるおまけイラスト
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昨年は一目も彼女に会えなかったから――
飛呂は今年こそはとローレットの受付嬢であるユリーカに直接プレゼントを渡す決心をした。
窓の外にプレゼントを置き去りにしなくったって、面と向かって渡せば彼女が喜び笑って呉れることを知っている。
それでもどうにも擽ったくて、緊張ばかりで、面と向かって渡すことが出来なかったのだ。
「あ、居たのです。飛呂さん!」
手を振ったユリーカに飛呂はひゅ、と息を呑んだ。ふわふわとした水色の髪を揺らしにんまりと笑った彼女。
暖かそうな服を着ていることで寒い夜に呼び出しても風邪を引く心配は無いと僅かに安堵をして。
「あ、ユ、ユリーカさん」
「どうかしたのですか?」
きょとんとしたユリーカに飛呂は意を決したようにプレゼントボックスを取り出した。
「あ、その――輝かんばかりのこの夜に! ユリーカさんに、プレゼントを、その……」
戸惑いすぎて言葉にならなかった。何時も通りに話すことは愚か、面と向かえば妙に堅苦しくなってしまった気さえする。
緊張しながら紡いだ飛呂にユリーカはぱりくちと瞬いてから満面の笑みを浮かべた。
「わあ、ボクにですか? とっても嬉しいのです! あ、ボクから何も用意していない……。
また何か浮かんだらプレゼントするのです! 輝かんばかりのこの夜に!」
微笑んだ彼女に飛呂はぎこちなく頷いたのだった。君が笑った顔だけで――どうにかなりそうだったから!
SS担当:夏あかね