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桜咲 珠緒の柴崎晴による2人ピンナップクリスマス2022
桜咲 珠緒の柴崎晴による2人ピンナップクリスマス2022
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人だけの特別なパーティも終盤。
桜色のシャンメリーを開けて、ちょっとお高めのケーキに舌鼓を打っていた蛍に珠緒がどこか緊張した様子で声を掛けた。
「蛍さん、左手を出してもらえますか?」
「……左手?」
蛍だって年頃の女性だ。大切な人から左手を出してくれと言われたら、否が応でも期待してしまう。いや、でも、まさか。
まさか、そんなことがあっていいのだろうか。
心臓が強く鼓動を刻んで、頬に熱が集まる。
おずおずと左手を差し出せば珠緒がその手をとって、薬指へ指輪を静かに通していく。
指輪はぴったりと収まって、思わず蛍は空いていた右手を口元へ遣った。
こんな幸せなことがあっていいのだろうか。夢じゃないだろうか。
愛おしさと幸せで思わず目の前の景色が滲んでしまった。
「どうしよう、ボク、世界で一番幸せになっちゃった」
一世一代の告白をこんなに嬉しそうに大切な人が受け入れてくれた。その事実に珠緒は鼻の奥がツンとして目頭が熱くなった。だが、今だけはとぐっと堪えて精一杯の笑顔を浮かべてその言葉を、投げかけた。
「蛍さん、珠緒と幸せになってくれますか?」
「……はい」
零れた涙は、屹度どんな宝石よりも綺麗だった。
※SS担当者:白