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『降り積もる 聖夜の夜に 想い馳せ 饂飩と共に 待つ日の出』
『降り積もる 聖夜の夜に 想い馳せ 饂飩と共に 待つ日の出』
イラストSS
いつもの古式ゆかしいうどん屋の屋台は、シャイネンナハトの夜に合わせてデコレーションされている。
ぴかぴかに輝く星型のライト、ヤドリギのリース、一見不思議な取り合わせに見えるけれど、どこかやさしくあったかな雰囲気は麺狐亭そのものを表しているようだった。
「うん、聖夜に食べるきつねうどん、絶品ね」
「そうじゃろそうじゃろ! ケーキやチキンばっかり食べてても、胃がもたれてしまうからの! こうやってあったかくて消化にもやさしいうどんこそが最強なのじゃよー♪」
ちゅるりと喉越しのよいうどんを啜って、レイリーが微笑めば、天狐はどやっと自信満々にうどんの良さを滔々と語る。
店長のうどん愛を聞きながら、じゅわりと甘さの広がるおあげをはぐはぐ噛み千切れば、口のなかは幸せでいっぱい。
勿論、天狐が研究に研究を重ねたつゆもおいしく頂けば、身も心もぽっかぽか。
聖夜にあたたかいものを食べながら過ごす贅沢に、レイリーはほぅ、と息をつく。
「確か、希望ヶ浜や豊穣には年明けにうどんを食べるという文化もあるのよね」
「ちっちっちっ、年越しにうどんを食べたって問題ないのじゃよ……!」
「あら、じゃあ近いうちにまた来ようかしら」
今年も、来年も、その次も――この日を無事に迎えられるように。
おいしいうどんを人々に振舞う狐巫女のためにも、かけがえのない日常を守ると白竜姫は誓う。
※SS担当者:遅咲