イラストSS

「ほい、ニル。サンタクロースのコスチュームを着るのだ」
　ごそごそと準備をするのはフリアノンの『ばあば』こと瑠貴である。
　珱の血筋に連なる長老は混沌世界でよく聞かれる聖夜の『サンタクロース』の真似事をする準備を整えたのだ。
　瑠貴にとっては誰も彼もが子ども達だ。フリアノンの『子ども達』に大切な贈り物をしたいと考えたのが親心。
　血の繋がりはそれ程深くなくとも、皆、赤子の頃から見てきたのだから喜ぶ顔が見たいのである。
「みなさま、喜んでくれるといいですね。瑠貴様！」
「うむ」
　自信満々に頷く瑠貴はふと立ち上がってから「ここは、このプレゼント、こっちはこれ」と最終確認を行ない始める。
　ふと、ニルをまじまじ見てから「似合うのう」と呟いた。
「そうですか？」
「瑠貴ちゃんも勿論？」
「似合います」
　そうだろうと自信満々に笑った瑠貴は可愛らしいチャイナ風にアレンジしたサンタクロースの衣装を身に纏っていた。
　忘れてはならない白いおひげを装着し、うきうきとした様子である。
「トナカイとやらを忘れていたが、ワイバーンでいいだろうかな」
「ワイバーン様に？」
「乗るぞ！」
　それでこそサンタクロースだろうと堂々たる宣言をする瑠貴にニルは「わあ、楽しみですね！」と手を打ち合わせた。


　＊SS担当者：夏あかね