イラスト詳細
志屍 瑠璃のしもふりによるシングルピンナップクリスマス2022
志屍 瑠璃のしもふりによるシングルピンナップクリスマス2022
イラストSS
"輝かんばかりの、この夜に"。シャイネンナハトは混沌中で戦いの禁じられる日。しかしながら、それは『死者が出ない日』と同義では無い。
──どさり。
路地裏で女子高生の様に見える何かが崩れ落ちる。女子高生の様な、という形容がされているのはその身体のあちこちに人ではあり得ざる異形が見受けられるからだ。
……否、そもそも『これ』は人ですら無い。夜妖。練達内都市『再現性東京202X:希望ヶ浜』において出没する『怪異』。それが今しがた倒れたものの正体だった。
「……ごめんなさい、助けてあげられなくて」
刀に付いた汚れを拭いながら、志屍 瑠璃は傍の骸に視線を向け、そして痛ましそうに呟いた。その骸は仕事帰りのサラリーマンの様に見える。骸の横には綺麗な包装紙に包まれていた小さな箱が1つ転がっており、包みが破けて中身が転がり落ちていた。
──美しい、銀の指輪。彼女はその指輪を拾い上げ、丁寧に箱の中へと戻すと男のポケットの中へと戻す。
「……せめて、あなたが見つかるまで誰の目にも触れない様に」
瑠璃のギフトを用いて目の前の男の記憶を手繰れば、この指輪だけは確実に贈り先へ届けてやれるかもしれない。だが、それはどうしてもこの上なく残酷なことの様な気がしてしまって。
瑠璃ができることは指輪がカラスなどの動物や心無い人間の手によって持ち去られてしまわない様に、男のポケットの中にそれを隠すくらいだった。
※SS担当者:和了