イラストSS

「玲樹、ケーキを食べましょうよ！　ねえ、チョコレートにする？　それとも生クリーム？」
「琉珂はどっちが好き？」
「えー……どっちも」
　唇を尖らせた琉珂に玲樹は「じゃあオーソドックスに生クリームにしようか」と微笑んだ。
　練達でショッピングをして互いに選んだ服はペアルックのようだった。「可愛いね」と二人で顔を見合わせて、だぼだぼとしたニット姿で二人で街へと繰り出したのだ。
　ケーキは生クリームの者を。それから、チキンと、ピザと――温めたり用意をするのは玲樹の役目である。
　食いしん坊の亜竜姫はにんまりと笑顔を浮かべて待機中なのだ。
「葡萄ジュースも飲みましょうよ。シャンパンっぽくて良いわよね」
「確かに。雰囲気を味わうのにぴったりかもしれないね」
　顔を見合わせてから乾杯とグラスを打ち合わせた。
　ウキウキとした様子の琉珂は玲樹に向き直ってから口を開いた。
「あーん」
「子供みたいだよ、琉珂」
「いいのよ。ほら、あーんして。玲樹、あーん」
　大きな口を開けた琉珂に運んだのはクリームがたっぷりとついている莓だった。
　にこにことしながら琉珂は一口ぱくりと囓ってから「あまーい！」と嬉しそうに笑みを浮かべる。
「まだまだたっぷりあるからね」
「うふふ、いっぱい食べましょうね！　それじゃ、頂きます！」


　*SS担当者：夏あかね