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ジルーシャ・グレイのひゅのによる2人ピンナップクリスマス2022
ジルーシャ・グレイのひゅのによる2人ピンナップクリスマス2022
イラストSS
●ランプのみちびき
霜の精ジェド・マロースの息吹が、大地を覆いつくしている。凍った大地の上を、犬ぞり……ならぬ、狼ぞりが勢いよく駆けていった。
「いくわよーっ、ラグナル!」
「よっしゃー! ジル。振り落とされるなよ!」
「もちろんよ。風に負けたりしないわ!」
吹きすさぶ風に負けずに、ジルとラグナルは、大地の上を滑っていく。
冷え切った空に、オーロラのカーテンが波を作る。寒さにも負けず狼たちは大地を蹴り、その爪が冷たい氷をわずかに削る。頼りになるのは嗅覚と、それから、ジルが掲げるランプの明かりだった。
どちらにいけばいいか、狼たちにはもう分かる。
ちゃんと、もう、わかっている。
あたたかいほうに!
心の赴くままに。
蝋の芯が燃える香りは、戦いの記憶ではなく、暖炉の前で語らうような、何気ない日常を思い出させた。
「フフ。アイデのみんなは、今年はプレゼントはナシって油断してるんでしょ?」
「ちびども、わがまま言わずに我慢するってさ」
「だからこそ、よね? アタシたちがプレゼントを運んであげなきゃね」
ジルがやさしく目をつむってみせた。
「ありがとな、ジル。ベルカ、ストレルカ! ……いくぞ!」
ラグナルの声にこたえて、狼たちはいっそうスピードをあげる。
※SS担当者:布川