イラストSS

　情報誌ラサビジョンのグラビア撮影会。それにお呼びが掛かって、ラサと縁深いエルスとティエルの二人はやってきた。
　シャイネンナハト特集らしく、赤と白を基調にしたサンタカラーの下着を身に纏う。胸元に猫型の穴が開いたデザインなのは、ラサの温暖な気候が為せる技――なのかもしれなかった。
　しかし、今回の目玉はそれだけではない。
　モデルの一方、ティエルのギフトは触れた者に猫耳を生やすというもの。ティエルがエルスに優しく腕を回すと、彼女の頭にもぴょこりと猫耳が生えた。不思議そうにエルスは猫耳を撫でてみる。情報誌の担当者が熱意溢れる様子で猫耳について語っていたのは記憶に新しいが……。
「そんなに私の猫耳に価値があるのかしら？」
　エルスはぽつりと呟く。傍らのティエルは不思議そうに赤緑のオッドアイを揺らした。
「エルスの猫耳、可愛いにゃ。似合ってるにゃ」
「……ありがと」
　"可愛い"という言葉に、エルスは頬を染める。頭上の猫耳がこそばゆさを示すように微かに揺れた。
「そろそろ撮りますねー」
　カメラマンの声を聞き、二人は顔を向ける。ちりんと首元の鈴が跳ねた。

　――可憐でミステリアスな白猫と青猫。
　二人の写真が載った情報誌の売上は、いつもより好調だったとか。

　※SS担当者：梢