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イラスト詳細

新田 寛治の小束すまによる2人ピンナップクリスマス2022

作者 小束すま
人物 新田 寛治
リーゼロッテ・アーベントロート
イラスト種別 2人ピンナップクリスマス2022(サイズアップ)
納品日 2022年12月24日

5  

イラストSS

●猫かお嬢か
「ちょっと……余り動かないで頂けません事?」
 寝転がったまま拗ねた視線を向けるリーゼロッテ・アーベントロートの視線に新田寛治は思わず笑みを零していた。
「どうして笑いますの?」と唇を尖らせる彼女に「いえいえ」とお茶を濁した寛治は考える。
(いや、実際。貴女にそんな顔をさせる男はそうはおりますまい――)
『こう』なった理由はそう複雑なものではない。
 蛇蝎の如く嫌われたのも今は昔。元々その美貌だけで言うなら『幻想の至宝』とまで称されたリーゼロッテの事である。色々あって険が取れ、棘が抜けた今の彼女は社交界でも引く手数多のスタアだった。
 ……それだけならば良いのだが、棘が抜けた以上は以前よりは断り方も苦労するようになったのか大事な聖夜に引っ張り回されて今があるという訳だ。
 いや、一番の理由はここにクリスチアンが居ない事だ。
『何事も如才ない彼がついていたならば、ガードは完璧だっただろう』。
 心底疲れた顔をした彼女は寛治の顔を見るなりこう言ったものである。

 ――ちょっと。お膝をお貸しなさい。

「……お嬢様?」
「なあに」
「随分、お疲れですね」
「……そうですわね。このまま眠ってしまいたい位」
 眠気の為か、何時もより幼気なリーゼロッテは「ふわ」と可愛く欠伸を噛み殺していた。
「もし」
「……?」
「構いませんよ、と云ったら?」
「……」
「そう云ったら、お嬢様は安心してお眠りになれますか」
 男としては頷かれても否定されても嫌な気はしない問いである。
 その辺りを察したのかジト目になったリーゼロッテは「本当に嫌な男ですわね」と彼女の最高の誉め言葉で応じて見せた。
(後塵を拝しているようで複雑ではありますが。
 幼馴染の時間というのは、まぁ――簡単ではないでしょうね)
 何せ、あんな勝ち逃げをしやがった男が相手なら。
 腰を据えて戦おうという覚悟も決まろうというものである。
「……ふわ……」
 再び欠伸をしたリーゼロッテの目はとろんと蕩けていた。
 寛治は腕時計に目をやって、彼女を起こすのが酷だと考えた。
(……まぁ、取り敢えずは安心でも十分でしょう)
 そうでなくても気の休まるタイプでは無いのだ。
 彼女の寝顔を独占出来ると思うのなら。
 心地良い重みに痺れる足位我慢出来ない筈も無い――

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