イラストSS

　シックで大人びた調度品。きらめくシャイネンナハトの飾り付け。落ち着いたバーにそこには浮かない様子の男二人。
「あ゛〜〜〜〜」
　ベルトアが髪をぐしゃぐしゃと掻き上げる。声がしゃがれているのは落ちた気分的なものなのか、それとも酒で焼けたのだろうか。
　エーミールもすっかり出来上がっており耳まで赤くなっている。
　二人とも煙草も一本とっくに吸い終わっていて、次の一本へ手をつけようかと言うところだ。

「今年も春は来ませんでしたねえ……」
「来なかったなあ……」
「もう何年になりますかねえ」
　シャイネンナハトは世では家族や恋人と過ごす日とされている。男二人でいるということはつまり、
「彼女……欲しいな……」
「欲しいですね……」

「シブメンとベビーフェイスがそろってるっていうのにどーして世間は見る目がないかねえ？！」
「イチャイチャするだけがシャイネンナハトじゃないんですよ。こうやって酒を飲み干すシャイネンナハトだっていいじゃないですか。辛気臭いですけど」
「やさぐれてるしな」

　そこへ店内に入って来るのはきらびやかな男女。二人の視線に殺意がこもる。
「爆発しないかな……」
「爆発しろ……」

「彼女欲しいな……」
「欲しいですね……」

　※SS担当者：7号