イラストSS

　水着、浴衣、スーツ、バニー。白無垢に動物の写真、動く白黒のチェスの駒。記憶を失い、何も持っていないと思っていた日々だったが気が付けばこんなにも物が増えている。物が増えるのと一緒に思い出も増えた。
　こんな経験もしたな、と思いにふけっているリュッケの前をふわふわと泡が浮かび上がり導くようにいくらか先へ飛んでいく。このふわふわ浮く泡の状態は未だにわからないままだが悪い気はしない。泡を辿った視界の先には( ‘ᾥ’ )の顔をしたクッションがあった。励まそうとでもいうのだろうか？　それとも……。
「……どうせ考えるなら、これでも使えと？」
　導かれるままクッションに身を預ける。かなり大きなクッションはリュッケの身体をしっかりと受け止めてくれた。
　ふかふかで柔らかくて包まれるような安心感。気が付けばうとうとと瞼が落ちてくる。いつの間にやら近くにあったもう一つの小さな( ‘ᾥ’ )クッション（ぬいぐるみ？）がかぷりと尻尾をくわえた。が、リュッケはすっかり夢の中。
　柔らかいクッションに埋もれてのんびりと暖かい部屋でのんびりとする。そんな時間があってもいい。なにせシャイネン・ナハトだ、戦いの禁じられる優しい日。
　外に興味はあれど、でもそれはもう少しだけここでまどろんでからにしよう。

　※SS担当者：心音マリ