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マルク・シリングのセラによる2人ピンナップクリスマス2022
マルク・シリングのセラによる2人ピンナップクリスマス2022
イラストSS
「……なるほど」
手紙らしき物を見ていたテレーゼが空色の瞳を瞠る。
「やはり注意をしておいた方が良いでしょうか……」
手紙を机に置いた彼女がまっさらの紙に返事らしきものを記し始める。
「テレーゼ様」
手紙を書き終えたらしい頃合いを見計らって、マルクが声をかければ。
「おや、マルクさん。どうしました?」
ようやく気付いたように驚いた様子でテレーゼが首を傾げるのを見て、マルクは微笑する。
「少しだけ休憩にしませんか? 輝かんばかりの、この夜に」
「……えっ? ……ぁっ」
益々目を瞠るテレーゼが小さく声をあげる。
「そういえば、シャイネンナハトは今夜でしたか!」
「紅茶と――ケーキをご用意いたしました。
少し休憩を入れた方が執務も進むと思いますよ」
「ちょうど一区切り着きましたから、それもいいかもしれませんね」
「今夜はブッシュ・ド・ノエルもご用意いたしました」
恭しく一礼してマルクが言うと、テレーゼが目を輝かせる。
「おぉ! とても美味しそうです!
ありがとうございます、マルクさん。
こんなに素敵なものまでご用意いただけるなんて」
年相応な喜びを表情に見せたテレーゼにマルクは微笑むと。
書類を片付けたテレーゼの前にブッシュ・ド・ノエルと紅茶を広げれば。
「せっかくですし、マルクさんも一緒にどうぞ。
1人で楽しむより2人の方が楽しいですし」
静かな雪の降る夜、普段と変わらず――けれど少しだけ違うその一日。
ほんの少しの休息を、穏やかに笑いあって。
※SS担当者:春野紅葉