イラストSS

　ジェラルドの帽子を被ったアルエットは改めて彼と一緒に雪景色を楽しむ。
　先程は不意の出来事でお互いびっくりしてしまったけれど、今は普段通りに過ごしている。
「寒くねえか？　コートの中入るか？」
　近づいても大丈夫かと確認するようにコートを広げたジェラルドへアルエットは頷いた。
「大丈夫なの！　お邪魔します！」
　先程の怯えた表情とは打って変わってアルエットは楽しげにジェラルドのコートの中へ入り込む。
　不意に触れられる事がなければ、友人のジェラルドとの時間は楽しいものだ。
　緊張の解れたアルエットの表情にジェラルドは安堵する。
　屋根の上から小さな身体が転げ落ちないようにジェラルドは尻尾で支えた。
「お月様が綺麗ね……あ、流れ星よジェラルドさん！　お願い事何かしてみた？」
「え、よく見えなかったな」
　アルエットが落ちないか心配でそれどころではなかったのだ。
「じゃあ代わりに私がジェラルドさんのお願いをしてあげるね」
「ん？　どんな願いだ？」
　興味あるとジェラルドは笑みを零す。
「美味しい物食べられますように！」
「それはアンタの願いじゃねーのか？」
「バレちゃった……！　ふふ！」
　星に願わずとも楽しげなアルエットの顔を見られるだけでジェラルドは幸せだと微笑んだ。

※担当：もみじ