イラストSS

　靡く金髪。片手で押さえるカウボーイハット。
　鋭く青い眼光が『的』を見据えたその瞬間、彼女は独特の姿勢から素早く拳銃を抜いた。
　銃声。――それも、コンマ2秒以下で連続するあまりにも早い連射であった。
　添え手によってハンマーを起こし連射するというこの古風ながらも見事な技術を、『ファニング・ショット』と呼ぶ。
　本来はあまりの乱暴さゆえに命中精度も悪くなるものだが、彼女……アン・バゼットはそれを難なく全て的へと命中させてみせた。
「どうだい？」
　僅かにずれた帽子の位置をなおしながら、アンは得意げに振り返った。
「なるほど。近くで見ると、想像よりも早いな……」
　後ろで観察していたラダ・ジグリ(p3p000271)は腕組みをして頷き、そしてアンが『やってみな』自らの銃を翳してみせる。
　アンとラダは過去に二度戦い、その後ラダの管理下におかれる事になったが、それでも戦場次第ではアンに軍配があがることもあるかもしれない……そう思わせる程度には腕の優れた銃の名手なのだ。
「コツは？」
「さあ？」
　アンは笑いながらリボルバー弾倉を開くと、空薬莢を手のひらに落として代わりに新しい弾を装填していく。
　改めて手渡された銃を握り、ラダは――。

　この後、ラダの優れた狙撃術とアンの連射術を合わせた『デザート・ファニングSS』が完成することになる。あまりの習得の速さに、周囲の者たちは驚愕したという。

※スキル『デザート・ファニングSS』を習得しました！

SS担当：黒筆墨汁