イラスト詳細
アルプス・ローダーの斉藤アキによる3人ピンナップクリスマス2017(横)
イラストSS
闇を切り裂く明かりは綺羅びやか。
不夜城。眠らない場所。大いなる識者はそれを『コンビニ』と呼ぶとか呼ばないとか。
「ケーキー、ケーキありますよー」
白い息と共に弾むアルプスの声が辺りに佇む厳かな夜を蹴散らしている。
微かに舞い散る雪が、足元に蟠る銀色が、幻想(ファンタジー)に相応しく無い極彩色のネオンの色彩を跳ね返す光景は、皮肉な事にそれ自体が物語めいた美しさを湛えていると言えるだろうか。
何せ寒い夜である。
寒い夜だけど――現在進行系でこの外気に相応しくも無く生足を見事にサービスして見せる三人の少女達が身に纏うのは所謂一つの『ミニスカサンタ』そういうルックでこんばんはって感じなのだった。シャイネン・ナハトなる伝説寓話の信憑性はさて置いて、混沌においても世知辛い資本主義の走狗共は一大イベントを商戦にするに猛々しいものだ。アルプス、アクア、ヴェッラ――三人の少女(に少なくとも見える)達はこのイベントを前に猫の手も借りたい勢いの店主に請われ、ここでこうしてバイトに勤しむ事になった次第なのである。
……とは言え、時はシャイネン・ナハト前夜――地球流に言うならクリスマスイヴの夜更けに小売のノルマと戦う少女達(初対面)は侘しいを通り越してある種の無残である。
自身で請け負った仕事とは言え、店主の架したケーキ売上のノルマは強気過ぎ、戦いは既に十数時間に及んでいる。
暖かい暖炉に当たり、シャンパンなぞを開けつつ、それこそケーキをパクついてもいい位に頑張った少女(便宜上)達であるからして。
「まだ間に合う。これから始まる。ケーキは如何、ケーキ! ケーキ最高!」
「妾もこれには太鼓判。確実安心の高品質、Xmasケーキ。残り僅か。お早目に!」
当然ながら声を張るアクアもヴェッラもややヤケクソ気味な風情も混ざっているのだが……
……何だ。実際の所はと言えば、見目の悲惨さとは程遠く。
何処と無く、一周回って楽しそうな雰囲気にも見えるのはきっと気の所為では無いだろう。
「ケーキ、ケーキありますよ。ノルマまでもう少しですよー」
「そこの道行くお兄さん、ケーキをお土産にどうですか!」
「うむ。妾なら気の利くパートナーに惚れ直す事間違いなし、じゃな」
口八丁に手八丁。
あの手この手でケーキを売る。売って、売って、売りまくる。
店主の無茶苦茶なノルマも今は昔、後少し。三人は即席のチームながらピッタリ息が合っていて。
ほら、案外この時間を楽しんでいるようじゃないか――
――イラストの、表情的に考えて。