イラスト詳細
咲々目・藤の雀居盟士によるシングルピンナップクリスマス2017(縦)
咲々目・藤の雀居盟士によるシングルピンナップクリスマス2017(縦)
イラストSS
(ああ、降ってきたんだ。道理で寒いと思った)
Scheinen Nacht(シャイネン・ナハト)の夜。
咲々目・藤(p3p002300)は売り物を拭く手を止め、窓の外へ視線を移した。幸い、暖かな羽織りを着ているからそこまでの寒さではない。
窓は室内と室外の温度差から少し曇ってしまっている。それでも町がイルミネーションや雪灯りに照らされ、煌めいているのはよく見えた。
「……綺麗」
窓の外を眺め、ぽつりと零す。
町を彩る電球も、舞い落ちる雪も。曇った窓を通してみるそれが輪郭をぼやけさせることさえ、幻想的で。
それはこの店内――『ささめ堂』にある雑貨に勝るとも劣らない美しさだ。
(この後はどこに行ってみようかな?)
この店の開店時間は気まぐれに決まる。だから今拭いているものが終われば、それこそ今日は閉店にしてしまったっていいのだ。丁度客もいない。
早く町へ出かけたい。そしてその煌めきを全身で感じてみたい。
出かける時のことを考えれば、それだけでも楽しみで仕方ないというように笑みを浮かべる。
光るライトも、照らされる雪も。元いた世界になかった、知らなかった『煌めき』がこの世界には溢れている。