イラストSS

　召喚されていくらか経ち。イレギュラーズ達にとってこちらで初めての冬。
　新しい場所で過ごす時間はいつだって新鮮だ。

「すごい、どこもかしこも真っ白だ」
　七鳥・天十里(p3p001668)はほう、と小さく息を吐いて周りを見渡した。
　いつもいる町のはずなのに、雪化粧されたそこは初めてきたかのような錯覚をさせる。
　それだけではない。Scheinen Nacht（シャイネン・ナハト）の聖夜が近づく町はイルミネーションで鮮やかに彩られ、ここぞとばかりに商人達が道行く家族や恋人達に売り込みをしていた。
　歩くたびにサク、サク、と小さく響くのは雪の踏みしめられる音。ちらちらと降る雪は人通りがなくなれば足跡を消してしまいそうだ。
（あっちも……こっちも見てみたい。ああ、どこも気になっちゃう！）
　冷たい風がふわりと吹き、癖のある髪とコートの裾を靡かせる。
　周りの雰囲気に高揚した天十里にとって、首元を撫でていく風はむしろ心地よい。
　あちらこちらと目移りさせる天十里の瞳は、イルミネーションに負けないくらいキラキラと輝いていた。