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☆お兄ちゃんとのクリスマス2017☆
☆お兄ちゃんとのクリスマス2017☆
イラストSS
幻想の夜に雪がふる。六花の欠片は青く月明かりを反射し、明かりを消した室内を淡く、蒼く、蒼く染める。
言葉はない。だけれどもそれでかまわなかった。ベッドに腰掛ける少女の膝に青年は寝転がる。たったそれだけの静かな時間。それだけが愛おしくて、永遠にこの時間が続けばいいとおもう。たった二人だけの大切な時間。誰にも邪魔されることのないように。
兄の銀色の髪をそっと撫でる。少しだけ痛んだその銀髪は兄らしくて自然と微笑みが浮かぶ。その様子にどうしたと目で訴えた兄に妹は首を横にふる。なんでもない。なんでもないこの幸せがくすぐったくて嬉しくて。それだけの話だ。
兄もまた手を伸ばし、妹の頬にふれる。冷たい兄の手。大きな手。優しい、私だけの手。愛おしくて目を細めれば、自分がしていたように頬をやさしく撫でられる。
ほんとに、本当に、なんて幸せな時間。大好きな兄が私を見てくれる。
「お兄ちゃん」
そう呼ぶだけで幸せになれる。なんて魔法みたいな言葉。お兄ちゃん。口のなかで繰り返せば、兄はなに? と答える。
「呼んでみただけ」
「そうか」
たった二人の雪のシャイネン・ナハトの夜は静かに。何か変わったことが起きるわけでもないけれど。それでも幸せだった。