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手編みセーター
手編みセーター
イラストSS
窓から差し込む日差しは柔らかい。室内は程よく暖かく、ともすれば眠ってしまいそうだ。
ゆらり、ゆらり。時折ウッドチェアを揺らす。併せて癖のある髪も揺れ、髪の隙間から零れる光も柔らかく揺らぐ。
心地よい空間で1人、カシエ=カシオル=カシミエ(p3p002718)は編み物をしていた。
休憩している時以外は手元から視線を逸らすことなく、黙々と作業を続ける。
籠に入っている毛糸玉はだんだん小さくなり、次の毛糸玉へ手を伸ばして。またその毛糸玉が小さくなっていく。
そんなことを何度か繰り返し、ようやく完成形が見えてきた。Scheinen Nacht(シャイネン・ナハト)の夜には間に合いそうである。
(よかった。折角だから、ちゃんとその日に渡したいものね)
真白の毛糸で編む、Vネックのセーター。
仕立屋として仕事で服を作ることは多くあれど、プレゼントとして相手を想って編むということは新鮮だ。
サイズは問題ないだろう。喜んでくれるだろうか。シンプルなデザインだから服装は合わせやすい筈。
編む手は止めずに、作るそれに想いを込める。
どうか降り注ぐ日差しのように、あの人を暖めて。