イラストSS

　インディゴ・ブルーの夜空には星が降り注いでいた。その夜空からひらりひらりと舞い降りる雪の精がレストの頬に雫を落とす。
「冷たい」
　彼女の表情は楽し気だった。
　街はイルミネーションで溢れ、レストの瞳に豊かな光を写し込む。
　一年の中でも雪が降らない地域がこの世には存在する。かつて彼女が雪を見たことがあったのかは定かではないが、この銀景色を楽しんでいる事に間違いはない。
　少し色黒の肌が冷たさで赤く染まっていた。
「ふふ……」
　アッシュグレイの髪がさらりと流れるとブルーメッシュの髪が覗く。
　レストは降り積もった雪をかき集めて雪だるまを作っていた。寒くないように赤緑のチェックのマフラーを巻いて。ニンジンの鼻に黒いシルクハットも忘れずに。
「次はこっちかしら？」
　雪の塊を手袋を嵌めた手で持ち上げたレスト。
　コメット・ブルーの瞳は目の前の雪だるまを見つめ、口元には笑みが溢れる。
　今日の為に用意した可愛い衣装はファーが付いたケープコートだ。マジョリカ・ブルーの統一された配色にホワイトのファーがアクセントになってお気に入り。
　お揃いのトーク帽も頭の上にちょこんと乗って実に可愛らしい。
「これで……」
　雪だるまもそろそろ完成が近づいていた――――