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イラスト詳細

春告げ鳥を待つ/猫星一之進IL

作者 猫星 一之進
人物 十夜 縁
イラスト種別 シングルピンナップクリスマス2017
納品日 2018年02月13日

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イラストSS

 とある冬の日だった。
「お、咲き始めたか」
 寒々しい枝ばかりの中に、桃色の花弁がぽつぽつと。
 十夜 縁(p3p000099)はソレに気づくと、縁側から外へ降り立った。
「まだまだ寒いんだがな……おっさんにはこたえるぜ」
 誰に告げるともなしに独りごち、冬物の羽織をしっかりと着込む。煙管を片手に煙をくゆらせれば、薄氷のように透き通った空へ立ち上った煙は空気に溶けた。
 翡翠色の瞳を細め、縁はそれを眺める。おもむろに歩み出せば、着物の隙間から素肌を冷たい空気が撫でた。
 陽の光は差しているが、ピンと張るような空気に暖かさは感じられない。縁側の下や庭には雪も残っている。
 けれど、自然は既に次の季節への準備を始めていた。その変化は些細なもので、しかし明確に分かるもの。
 ゆっくりと庭を歩む縁。愛用の煙管から昇る煙がその軌跡を残して、さらに空へ。
 梅が咲いた。次は桜。その頃には寒さも和らぐだろう。
 梅の木を見上げれば、ちょうど緑色の鳥が枝に留まる。かくりと首を傾げるその鳥を見て、縁は仄かに笑みを浮かべた。
 とある冬の終わり。些細な変化を感じながら、いつも通りのらりくらりと日々を過ごして。

 春は、もうすぐそこに。

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