イラストSS

　冬の静かな陽射しが緑を照らす小路にて、エトは意気込んでいた。
「じゃあ決まりね！　奇特な白髭のお爺様を探して、あわよくば捕獲しましょう！」
　薔薇色の瞳をきらきらと輝かせたエトはティスタの前を歩き、あるものに思いを馳せる。それはトナカイが引く空飛ぶソリで贈り物を配る存在の話。その不思議な物語を聞いたとき、エトの胸は高鳴った。
「サンタクロースを捕獲、ですか？」
「ええ、空飛ぶソリにも気になるしお爺様から色々な話を聞きたいの。素敵だと思わない？」
「確かに……そうですね」
　一度は首を傾げたティスタだが、エトがあまりにも楽しげに語るので微笑ましく感じた。ティスタは彼女を止めることなどせず、この世界で見染めた新たな主人にそっと付き従っていく。
「お爺様を捕まえたらティスタもソリに乗せてあげるわ！」
「はい、よろしくお願いします」
　緩やかに細めた青の眸が映すのは淡く揺れるミルクティー色の髪。そして、振り返りながらティスタの手を取ったエトの笑顔。
　駆け出した二人にとって、実はサンタが見つかるかどうかなんて本当は関係がないのかもしれない。
　一緒ならきっと楽しい日を過ごせる。そんな予感が少女達の裡に宿っていた。