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嘘吐きには堕ちぬ涙を
嘘吐きには堕ちぬ涙を
イラストSS
ゆらゆら、ゆらゆら。
水面が揺れる。魚が泳ぐ。
否。あれは魚じゃない。水面越しに見た、ライトアップの光。
地上ではScheinen Nacht(シャイネン・ナハト)の催し物で華々しくライトがつけられている。人々が賑わっているのだろう。
シグルーン(p3p000945)は水底からその光を眺めていた。
周りに誰かがいるわけでもなく、水の中は静けさが支配する。
地上と水中。あまりにも対照的なそこを小さな泡沫が昇っていく。
シグルーンの瞳からふわりと、音もなく上がる細かなそれは雪のよう。視線で追いかければ水面へ――水面越しの色とりどりな光源が視界に入る。
それは先日聞いた、旅人(ウォーカー)の伝えてきたという聖人の話を思い出させた。
「良い子にはプレゼント、かぁ」
サンタクロースという聖人は、ある条件を満たした子供の元へ来るそうだ。
1年、良いことをしていた子供へのご褒美。
「それじゃあシグは、プレゼントなんてもらえないよね」
嘘つきは、悪い子だから。
「だって、シグは本当はカオスシードじゃなくて――」
カオスシードだったら、雪も、涙も、重力に逆らわずに落ちてくるものだ。
くしゃ、と微笑んだその表情はどこか泣いているようで。
その先の言葉は、水の静けさに呑まれた。