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イラスト詳細

テテス・V・ユグドルティンの傘笠によるシングルピンナップクリスマス2017(横)

作者 煙火
人物 テテス・V・ユグドルティン
イラスト種別 シングルピンナップクリスマス2017(サイズアップ)
納品日 2018年02月13日

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イラストSS

 ペリドットグリーンの試験管を見つめるテテスの瞳は真剣だった。
 無辜なる混沌へ召喚される前の彼女であれば、造作もないであろう調合。
 しかして世界法則は『生まれたばかり』であるテテスの指先を阻んでいた。
 文献を収集しこの世界の理を自分の知識と照らし合わせて行く作業は何処か懐かしく、知識の海を泳ぐ苦労も感慨を帯びる。
 彼女の後ろにはその知識の海を泳いだ遍歴が垣間見える様だった。
「これを……」
 左手に持つフラスコはアクアブルーを帯びている。分解と再構築。微力な魔力を切り替えながらテテスはその青色を保っていた。
「次は」
 試験管の緑の雫を一粒。フラスコに流し込む。
 交わる色はパライバトルマリンの彩りを放ちながら魔素の収縮が起きていた。
 此処へテテス自身の魔力を流し込む。
 彼女の左目がエンダイブ・イエローの輝きを放つのに合わせて、纏う蔦がうねり広がっていた。
 身体を預ける車椅子がギシリと軋む。
 この世界の法則に合わせた錬金術の顕現。
 完成するこの瞬間が、未知なる知識との会遇が、肌が沸き立つ程芳しい。
「……ふふ」
 テテスは完成したそれを見つめ満足気に少し目を細めるのだった。

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