イラストSS

「お得ですよ～、ケーキいかがですかぁ♪」
　宗高・みつき(p3p001078)はウィッグを被り、完全に女性の姿でケーキの売り子をしていた。

　Scheinen Nacht（シャイネン・ナハト）は冬だ。当然寒い。そして、みつきの財布の中も寒かった。
　こちらに召喚されていくらか経った。生活用品や武具などを買っていれば金は減っていく。０からのスタートであるから、手持ちの金が底を尽くのも早かった。
「どうしたもんかな……」
　肩を落としていたみつきの目に入ったのは１枚のポスター。短期の店員募集――つまるは、バイト募集。
　業務内容はケーキの販売。報酬もシャイネン・ナハトに被っているためか高額だ。
　バイト代に視線が行ってしまったみつき。本当はその下に募集対象の記載もあったのだがそちらへ目を向けることなく、善は急げとばかりにアルバイトの申し込みに行ってしまったのである。

　時は冒頭へ戻る。
　みつきはサンタガールの衣装を纏い、道行く人々にケーキを宣伝していた。
　客と話すこともあるのだから、当然女性らしい振る舞いをしなければ驚かれてしまう。元々男であるみつきにとっては抵抗を覚えるような事である。
　けれど、高額報酬の魅力には抗えない。
（今耐えれば金が手に入る！　最後まで頑張れ、俺！）
　とはいえ、サンタガールの服は季節感を無視するような露出度。偶にスカートの短い少女やいかにも薄着といった女性などもいるが、この寒さをよく耐えられるものだと思う。
　雪の降る中。寒さで声が震えそうになるのを我慢しながら、みつきは再び声を張ったのであった――。