イラストSS

　Scheinen Nacht（シャイネン・ナハト）。聖女と悪魔の物語。
　町は飾り付けられ、煌めき、流星と共に輝かんばかりの夜を作り上げる。
　流れ落ちる星は、今静かに降っている雪にも例えられたという。

（オーナメントボールは……ここ。リボン、は……こう、でしょうか）
　セレン・ハーツクライ(p3p001329)はツリーに教えられた通り、丁寧に飾りを付けていく。
　ローレットに幻想の勢力となる各貴族達から、サンタクロースという聖人に基づいた依頼が舞い込んだのはつい先日のこと。
　記憶を失っているセレンにシャイネン・ナハトの記憶はない。だから初めてのシャイネン・ナハトだ。
　自分なりに楽しんでみたいという思いは必然的にこの服装を選ばせた。
「これで……完成」
　ツリーの上部に飾り付けられたトップスターは、その存在を主張するようにキラリと光を反射する。
　飾りにはそれぞれ意味があるのだという。それは元来この世界にあったものか、異世界から持ち込まれた知識なのかは不明だ。
（けれど……この、飾りだけは……）
　光を反射して輝く頂点の星。

　それはきっと、願い祈し者達に降り注ぐ――祝福の煌めきだ。