イラストSS

　今まで興味なんかなかった。ないフリをしていた。だから誰にも、何も欲しがらなかった。
　だけど今年は違う。わたしは初めて知った。Scheinen Nacht（シャイネン・ナハト）が大切な人へ贈り物をする日だということを――。

　シェーラ＝グラナート（p3p000448）はヴィッテルバッハ商店街にいた。幻想国首都にある商店街の中でも威厳あると称されるそこは今、シャイネン・ナハトの匂いとにぎわいと彩りにあふれ、何列も屋台が立ち並んでいる。
　通りに溢れる人の波と圧倒的な幸福感に押し流されそうになりながらも、シェーラは大切な人へ贈るプレゼントを選んでいた。
（「これもいいけど……あっちも気になる。でも、やっぱり最初に見ていたやつのほうが……うーん」）
　気になったものを一つ手にするたびに、相手の喜ぶ顔を想像してワクワクする。実際にプレゼントを渡すと、相手も喜んでワクワクしてくれるのだろうか。そして、それを見た自分もまたワクワクするのだろうか。
（「あ！　これ――」）
　きらびやかに飾られたショーウィンドウの中に、プレゼントするに相応しい素敵なものを見つけて、シェーラの口元が柔らかくほころんだ。