イラスト詳細
秋嶋 渓の彩によるシングルピンナップクリスマス2017(横)
秋嶋 渓の彩によるシングルピンナップクリスマス2017(横)
イラストSS
くるり、くるくる。降り積もる雪の中、足先に力を込めて。
秋嶋 渓(p3p002692)は煌々と光を帯びる天空の月を見上げて息を吐く。
飾る桜の散り際は美しい――紅の衣を揺らした渓は目を伏せる。
「――」
それはシャイネン・ナハトの見せた幻想なのかもしれない。雪の如き花弁を受け止めて渓は静かに息を吐く。
伸ばした指先は只、只、宙を掻いて。
深々と降る雪は冬の寒さをまだまだ降り積もらせる。
胸中に浮かぶ寂寞を飲み込む様に渓は息を深く吐き出した。
踊れや踊れ。その歩みを止めることなく。
踊れや踊れ。それは雪と桜の交わる場所で。
幻想(ゆめ)の如き世界は少女の心を震わせる。
深々と積る雪と似た桃をその両眼に焼き付けて、月色の瞳は柔和に細められる。
雪解けが来たならば春が来る。
待ち望む様に彼女は踊るのだろうか。
ねえ、春は何処からやってくるのかしら――? なんて、問う事無く彼女はひらりひらりと踊り続けた。
指先に触れた花弁は雪の如く、ふわりと消えて――