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隠岐奈 朝顔のくろすによる2人ピンナップクリスマス2021
隠岐奈 朝顔のくろすによる2人ピンナップクリスマス2021
イラストSS
月明かりは群青の空を照らし、降り注ぐ星が煌めいて地上へと落ちてくる。
それが無性に寂しくて切なくて。
顔を上げた朝顔は目頭が熱くなった。
一年半前の夏。
遮那と出会い、好きだと告白した。
今よりもずっと純粋に真っ直ぐで淡い恋心だった。
それを遮那は真摯に受け止め、返してやる愛の言葉を持たないと首を振った。
一度散ってしまった恋なのだ。
それでも、傍に居て絶望から遮那を守りたいと想っていたはずなのに。
純粋な気持ちは変化し、全てが欲しいと願ってしまった。
遮那の最愛が欲しいと思ってしまった。
淡い恋心は激しい思慕を纏い、己自身も出口の見えぬ思考に溺れていく。
――どうして。
――どうして。
――どうして!
一滴溢れた涙が畳の上に落ちる。
ひとたび落ちれば、止まることを知らず。
それを掬う遮那の指先と、包み込む黒い翼。
いっそ、突き放してくれればいいのに。
嫌いになることが出来たらいいのに。
誰にでも優しくて、穢れの無い純粋さが、毒の棘みたいに突き刺さる。
でも、絶望から救いたいと願った気持ちは本物だった。
あの頃にはもう戻れない。
好きという気持ちだけじゃ一緒に歩けない。
最愛が欲しいのだと、気持ちと共に涙が溢れていく――
*SS担当:もみじ