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燈堂 廻の名取そじによる2人ピンナップクリスマス2021
燈堂 廻の名取そじによる2人ピンナップクリスマス2021
イラストSS
空調機能設備にエラーが発生し、珍しくも『気象予報で想像できなかったほどの大雪』が降り積もった希望ヶ浜。
それは廻にとっても余りにない経験で。「暁月さん」と年甲斐もなく幼い子供の様についつい心を騒がせたものだ。
暁月はその様子に笑みを浮かべてから一つ、提案をした。
かまくらを作ってキャンドルを置こう。こんな機会しかできないよ、と。
降り積もったかまくらで作られた二人だけの秘密基地。ふるりと震える寒さを凌ぐように大判のブランケットを羽織った暁月は華奢な廻をそっと引き寄せた。
「寒くはないかい?」
「はい、あったかいです」
忙しない日々を送り、燈堂一門としても様々な課題を熟してきた二人にとって『家族』として過ごす時間は久方振りで。
共に過ごしてきた『家族』だからこそ暁月の目許に浮かんでいる疲弊が廻には良く分かった。
「暁月さんは寒くないですか?」
「大丈夫だよ」
大丈夫、と問えば彼は何食わぬ顔をしてしまうから。だからこそ、務めて明るく朗らかに笑い『日常を謳歌する』事が彼にとってのやすらぎである筈だから。
揺らぐキャンドルに「綺麗ですね」と微笑んで――今は二人で穏やかな『日常』を。
*SS担当:日下部あやめ