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許された時間
許された時間
イラストSS
――今日はあなたと一緒に居たいから。
可愛い服もリボンも何もかも。あなたの『リアコ』として選んだ物だった。
卯月は緊張しながら待ち合わせ場所へと向かう。約束をしていても、彼が立っているかどうかだけが気になって、ほら、影が伸びた。
「マッドハッターさん!」
呼びかければ「やあ、アリス」と彼が微笑む。それが『イレギュラーズ全員』に向けての言葉だと知っているから卯月は頬を膨らませた。
「アリスじゃないですよ」
「ああ、失礼。私と一緒にクリスマスを過ごしてくれる約束をした三月うさぎだったね。
輝かんばかりのこの夜だ。私もうさぎをエスコートするには穴を潜ってバラの迷宮を抜けてこなくてはならなかったかな?」
何時だって、彼の言葉は難解で。全てを掻き混ぜるようにして、分かり難く『私を翻弄して遊ぶ』から。
卯月は「エスコート、してくださいますか」と問い掛けた。
「ああ、勿論さ。君がそう望むならば、私は今夜は君の為のパーティーを開かなくてはね。
毎日がパーティーでも、唯一招待客を選べることが主催者の利点なのさ。さあ、お出で、『三月うさぎ』」
そっと手を取って微笑むその人に卯月の胸は高鳴った。
*SS担当:夏あかね