イラストSS

●手遅バグな/紫乃宮バグは
「――大体っ！　あれもこれもそれも何も全部小夜さんが悪いんですよ！！！」
　酒場のカウンターに突っ伏したすずな(p3p005307)の言をあの女怪、白薊小夜が聞いたら何と言っただろうか。恐らくは「私のせいにされてしまったわ」。言葉を載せるその面持ちは余裕めいていて、何処か妖しく。とびきり蠱惑的で美しいのだろう。
「そういう！　所なんですよ！！！」
　すずなは脳裏に描いた想い人のその顔に再び勝手に憤慨した。
　恐ろしい程の酒を浴びるように飲んでいる。空のジョッキがこれだけ積み上がれば『弱くはない』sznがびしょびしょになるのも必然だった。
「そうやの！　そういう所なんです！」
　大荒れするすずなの対面でシュプレヒコールを上げる紫乃宮 たては(p3n000190)が腕を振り上げた。彼方を指差すその顔はぐでんぐでんにキマっており、否が応無いJC力と手遅れさを思わせる。概ねすずなだ。
「旦那はんは何時も！　何時も！
　うちにいけずで、知らん女ばっか増やして……
　こんな可愛い子が想ってくれんなら、そっち行けばええやろ！
　あの！　黒髪の！　うちに似た！　呪いの日本人形みたいなあの女！」
　想い人同士が複雑怪奇に絡む二人の間柄はその矢印がややこしい。
　二人の愚痴に止まる気配は無く、店は間違いなく大迷惑に違いなかった――